MV
Knowledge
ナレッジ
2024.10.30
Tips

人材開発支援助成金の活用について

1.人材開発支援助成金について

人材開発支援助成金とは、厚生労働省が提供する制度で、企業が従業員の職業能力を向上させるための職業訓練を実施する際に、その経費や賃金の一部を助成するものです。特に、計画的に人材育成に取り組む事業主にとって、効果的に人材を育成し、企業の生産性向上に寄与する重要な制度です。本記事では、人材開発支援助成金の概要、申請方法、そして活用事例について分かりやすく説明しますので、ぜひご参考にしてください。

1-1.制度の概要

この制度は、事業主が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識や技能の習得を促進するための職業訓練を実施する際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する「人材開発支援助成金制度」です。助成金の金額は、特定訓練コースで受講者1人あたり29,800円(受講料の45%及び賃金の一部)となり、一般訓練コースの場合は賃金助成が380円から480円(時間当たり)など、条件に応じて支給されます。対象となるのは、雇用保険適用事業所の事業主や事業主団体で、計画的に職業能力開発計画を策定し、訓練を実施することが求められます。この制度を活用することで、企業は従業員のスキル向上を図りながら、経済的な負担を軽減することができ、特に労働力不足にお悩みの企業様にとっては、貴重な人材を育成する機会を提供するメリットがあります。

1-2.訓練経費や賃金の一部を助成

人材開発支援助成金の最大のメリットは、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成してもらえるという点です。具体的には、訓練の内容や受講者数に応じて、経費の45%または30%の助成が受けられます。また、訓練中に支払った賃金に対しても、時間当たりの助成が行われます。これにより、企業は人材育成にかかるコストの負担を軽減し、安心して訓練を実施することができます。

1-3.計画的な人材育成を促進

助成金を利用することで、企業は計画的に人材育成を進めることが可能になります。職業能力開発計画を策定し、その計画に基づいた訓練を実施することが求められるため、企業は自社のニーズや市場の変化に応じた人材育成を行うことができます。このように、計画的な取り組みが促進されることで、従業員のスキル向上やキャリア形成が支援され、企業全体の生産性向上にも寄与します。

1-4.若手人材の育成支援

特に、若年人材育成訓練を利用することで、企業は新卒者や若手社員に対して必要な知識や技能を体系的に教えることができます。この訓練は、職務に必要な専門的な知識を身につけさせることが目的であり、将来の即戦力となる人材を育成する上で非常に効果的です。企業にとっては、優秀な若手社員を早期に育て上げることができ、将来的な事業の発展に繋がります。

1-5.社員のモチベーション向上

訓練を受ける従業員は、スキルを向上させる機会を得ることで、自己成長を実感し、モチベーションが向上します。また、資格取得に向けた支援が受けられるため、従業員は自身のキャリアアップにも前向きになります。これにより、職場の雰囲気が良くなり、従業員の定着率が向上することが期待されます。企業側としても、優秀な人材が長期的に働いてくれることは、経営の安定に繋がります。

1-6.労働条件の向上と企業イメージの向上

人材開発支援助成金を活用することで、企業は従業員に対する教育訓練を充実させ、労働条件を向上させることが可能です。これにより、企業が従業員の成長を重視する姿勢を示すことができ、良好な企業イメージを築くことに繋がります。結果として、優秀な人材が集まりやすくなるため、採用活動においても有利に働くでしょう。企業は、社会的責任を果たす存在としても評価され、ブランド力を高めることができます。

2.制度の注意点とリスク

2-1.不正受給に関する厳格な対応

人材開発支援助成金は、正当な申請と利用を前提とした制度ですが、不正受給が発生した場合、事業主は重大な責任を問われることがあります。不正受給とは、虚偽の申請や不正行為によって本来受けることのできない助成金の支給を受けることを指します。この場合、事業主名が公表される上、受け取った助成金の返還を求められる可能性もあります。特に注意が必要なのは、申請代理人や訓練機関が不正受給に関与した場合、事業主にも同様のペナルティが科せられることです。

2-2.訓練計画の適切な提出

助成金申請の前提として、訓練実施計画届を訓練開始日の1ヶ月前までに提出する必要があります。この期限を守らなかった場合、助成金の支給対象外となるため、計画的なスケジュールの設定が重要です。また、計画の変更が生じた場合には、必ず変更届を提出しなければなりません。変更届を提出せずに訓練を実施した場合、その部分については助成金が支給されない可能性があります。

2-3.助成金の限度額と条件

助成金の支給には、企業の規模や訓練の内容に応じた限度額が設定されています。例えば、特定訓練コースを利用する場合、中小企業は1人当たり最大50万円の助成が受けられますが、助成金の支給額は実訓練時間数によって異なるため、事前に計画をしっかり立てる必要があります。また、同一の経費に対して他の助成金と併給できない場合があるため、他の助成制度との調整も考慮する必要があります。

2-4.訓練内容の適合

助成金の対象となる訓練内容は、職務に直接関連した専門的な知識や技能の習得を目的としたものでなければなりません。例えば、趣味や教養を目的とした訓練は助成対象外となりますので、訓練内容が制度の趣旨に合致しているかを確認することが重要です。また、必要な訓練時間数が定められているため、実訓練時間数が要件を満たさない場合も支給対象外となるため、事前の計画と実施が求められます。

このような注意点をしっかりと理解し、適切な手続きを行うことで、人材開発支援助成金を最大限に活用することができます。もし不明点があれば、管轄の労働局やハローワークに相談することをお勧めします。

3.申請の流れ

人材開発支援助成金を利用するための申請手続きは、以下のステップに分かれています。これに従って、スムーズに申請を行いましょう。

3-1.計画の策定

まず、事業内職業能力開発計画を策定します。この計画には、従業員の職務に必要な能力や、訓練の目的、内容、実施方法を明記します。また、労働者に対して定期的なキャリアコンサルティングの機会を設けることも重要です。

3-2. 必要書類の準備

次に、申請に必要な書類を準備します。以下の書類が必要です。

・訓練実施計画届(訓練様式第1号)
・年間職業能力開発計画(訓練様式第3-1号)
・訓練別の対象者一覧(訓練様式第4号)
・労働者の雇用契約書(写)
・訓練内容に関するカリキュラムや受講案内(写)

3-3.計画届の提出

訓練開始日の1ヶ月前までに、上記の書類を管轄の労働局またはハローワークに提出します。この際、計画の内容が適切であるか確認を受けるため、事前に相談することもお勧めします。

3-4.訓練の実施

訓練を実施する際には、計画に沿って行うことが必要です。実施後、受講者が実訓練時間数の80%以上を受講したことを確認します。

3-5.支給申請書の提出

訓練終了日の翌日から2ヶ月以内に、支給申請書(訓練様式第5号)を提出します。この際、賃金助成や経費助成の内訳書(訓練様式第6号、第7-1号)やOFF-JT実施状況報告書(訓練様式第8号)も併せて提出します。

3-6.審査プロセス

提出された書類は、労働局による審査を受けます。審査には時間がかかる場合がありますので、早めに申請を行ってください。審査結果は、支給決定または不支給決定として通知されます。

3-7.融資実行

支給が決定された場合、助成金が振り込まれます。この際、訓練にかかる経費が全額事業主が負担していることを確認する書類も必要です。

この流れに沿って進めることで、スムーズに人材開発支援助成金の申請を行うことができます。初めて申請を行う方も、この手順を参考にして安心して申請を行いましょう。

4.必要書類

人材開発支援助成金を申請する際には、以下の書類や情報を準備する必要があります。

・訓練実施計画届(訓練様式第1号)
訓練の内容や実施計画を記載した書類。

・年間職業能力開発計画(訓練様式第3-1号)
訓練計画の全体像を示す書類。

・訓練別の対象者一覧(訓練様式第4号)
訓練を受ける労働者の一覧。

・支給申請書(訓練様式第5号)
助成金の支給を申請するための書類。

・経費助成の内訳(訓練様式第7-1号)
訓練にかかった経費の詳細を示す書類。

・OFF-JT実施状況報告書(訓練様式第8-1号)
訓練の実施状況を報告するための書類。

・支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
支給要件を確認するための書類。

・支払方法・受取人住所届
受取人の情報を記載した書類。

・雇用契約書(写)
訓練対象者が被保険者であることを確認するための書類。

・訓練対象者の出勤状況を確認できる書類
出勤簿やタイムカードなど。

・訓練にかかる経費を支給申請日までに全て負担していることを確認するための書類
領収書や振込通知書(写)など。

・OJT実施状況報告書(訓練様式第9号)
OJTの実施状況を報告するための書類。

上記の書類は、申請の際に必ず提出する必要があります。各書類の作成にあたっては、具体的な内容や形式について注意を払い、必要に応じて管轄の労働局またはハローワークに相談してください。

5.まとめ

人材開発支援助成金は、企業が従業員の職業能力を向上させるための訓練を支援する重要な制度です。計画的な人材育成を促進し、経済的な負担を軽減することで、企業の生産性向上や従業員のモチベーション向上に寄与します。しかし、申請には注意点や適切な手続きが必要ですので、事前にしっかりと理解し、計画的に進めることが重要です。これから人材開発支援助成金を利用しようと考えている企業様は、ぜひこの情報を活用し、申請手続きを行ってください。

人材開発支援助成金の詳細についてもっと知りたい、または申請に関する疑問がある場合は、どうぞお気軽にSMADコンサルティングまでお問い合わせください。私たちは、皆様の補助金活用をサポートいたします。さらなる成長を目指す中小企業の皆様のパートナーとして、最新情報をお届けし、資金調達のお手伝いをさせていただきます。ぜひ、当社のメルマガをご活用いただき、お役立てください。