経営力向上計画とは
経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、自社の経営力を高めるための計画であり、人材育成や設備投資などを通じて経営の質を向上させることを目的としています。この制度を利用することで、認定を受けた企業は、税制優遇や金融支援などのさまざまな支援措置を受けることができます。本記事では、経営力向上計画の概要や申請手順、受けられるメリットについて、わかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.経営力向上計画の概要
経営力向上計画は、中小企業等経営強化法に基づき、企業が人材育成やマネジメントの向上、設備投資を通じて経営力を高めるための計画を策定し、認定を受ける制度です。認定を受けることで、中小企業経営強化税制を利用し、法人税等の特例や所得拡大促進税制による税額控除が受けられ、さらに政策金融機関からの低利融資を受けることが可能です。申請対象者は、従業員数が2,000人以下の会社や個人事業主、医療法人、社会福祉法人などが含まれます。この制度は、特に経営改善を目指す企業様にとって、資金面での大きな支援となり、競争力の向上に貢献するものです。
2.経営力向上計画のメリット
2-1.中小企業経営強化税制
経営力向上計画を認定された企業は、中小企業経営強化税制の恩恵を受けることができます。具体的には、認定計画に基づいて取得した設備に対する法人税等の特例が適用されるため、税負担を軽減することが可能です。たとえば、生産性向上設備に関連する設備投資を行った場合、一定の条件を満たせば、法人税が軽減される仕組みです。この税制を利用することで、資金繰りを改善し、さらなる設備投資を行う余裕が生まれます。
2-2.所得拡大促進税制
また、経営力向上計画を利用することで、所得拡大促進税制の適用も受けられます。この制度では、前年に比べて給与を1.5%以上増加させると、増加分の15%が法人税額から控除されます。さらに、給与を2.5%以上増やすと、増加分の30%が控除対象となります。つまり、従業員の給与を引き上げることで、企業は税負担を軽減でき、同時に従業員のモチベーション向上にも寄与することができます。
2-3.金融支援
経営力向上計画を通じて、政策金融機関からの低利融資や民間金融機関による信用保証が受けられる金融支援も大きなメリットです。日本政策金融公庫からは、特別利率での融資が受けられ、設備資金に関しては、最大2億7,000万円までの融資が可能です。さらに、長期運転資金も利用できるため、資金繰りに困ることなく、中長期的な経営計画を実行しやすくなります。これにより、企業の成長や安定した運営が期待できるのです。
3.制度の注意点とリスク
経営力向上計画を利用する際には、いくつかの注意点とリスクがあります。以下に具体的に解説しますので、申請を検討している方はぜひ参考にしてください。
3-1. 計画の認定が必要
経営力向上計画は、単に作成するだけではなく、事前に認定を受ける必要があります。この認定が得られない場合、税制優遇や金融支援を受けることができません。計画の内容が不十分であったり、必要な書類が揃っていないと、認定が下りないリスクがありますので、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
3-2.提出書類の整備が面倒
経営力向上計画の申請には、多くの書類が必要です。特に、直近の決算書や税制措置、金融措置に関する書類など、準備が煩雑になることがあります。これらの書類が不備だと、申請が遅延したり、最悪の場合、審査が却下されるリスクもあります。事前にチェックリストを利用して、準備を整えておくことが重要です。
3-3.gBizIDの取得が必須
経営力向上計画を申請するには、「gBizID」というアカウントを取得しなければなりません。このアカウントの取得には2週間程度かかる場合があり、申請を急ぐ場合には注意が必要です。gBizIDがないと申請ができないため、早めに手続きを進める必要があります。
3-4.遡及申請の制限
経営力向上計画は、遡及申請ができる期間が限られています。最大で2ヶ月の遡及申請が可能ですが、事業承継等の支援措置を利用する場合には遡及ができないため、計画の実施タイミングをしっかりと確認することが大切です。
3-5.経営革新等支援機関の活用が必須
計画の作成には、経営革新等支援機関のサポートを受ける必要があります。これらの機関が提供する支援が不十分であれば、計画自体の質が低下し、認定が下りない可能性があります。信頼できる支援機関を選ぶことが重要です。
3-6.計画変更の難しさ
一度認定された経営力向上計画を変更する場合には、新たに申請が必要になります。経営環境の変化などに応じて計画を修正したいと考えても、その手続きが煩雑であるため、柔軟な対応が難しいというリスクがあります。
これらの注意点をしっかりと理解し、計画的に進めることで、経営力向上計画を効果的に活用できるようにしましょう。信頼できる専門家に相談しながら進めると、より安心です。
4.経営力向上計画の申請の流れ
経営力向上計画を申請するための手順は、以下のステップに分かれています。これから初めて利用される方でも迷わないよう、詳細に説明します。
4-1.受ける支援措置を選択する
まず、経営力向上計画で受けたい支援措置を選択します。選択肢は以下の4類型からなります。
A類型:生産性向上設備
B類型:収益力強化設備
C類型:デジタル化設備
D類型:経営資源集約化設備
自社のニーズに合った支援措置を検討し、計画の基本方針を定めます。
4-2.経営力向上計画を作成する
次に、経営力向上計画を作成します。中小企業庁のホームページから「経営力向上計画に係る認定申請書」をダウンロードし、必要事項を記入します。計画作成にあたっては、以下の情報を含める必要があります。
・自社の現状認識
・経営力向上の目標
・実施する具体的な内容
・必要な資金の額とその調達方法
4-3.必要書類を準備する
申請には、以下の書類を準備する必要があります。
・経営力向上計画認定申請書
・事業計画書(必要に応じて)
・直近の決算書
・申請する支援措置に応じた書類
書類は、正確に記入し、漏れがないように確認してください。
4-4. 経営力向上計画を提出する
経営力向上計画は、「経営力向上計画申請プラットフォーム」を通じて提出します。プラットフォームを利用するには、事前に「gBizID」というアカウントを取得する必要があります。gBizIDの取得には約2週間かかるため、早めに申請準備を進めておくことが重要です。
4-5.審査プロセス
申請後、経営力向上計画は審査されます。審査の結果は、通常数週間以内に通知されます。必要に応じて、審査機関から追加の情報提供を求められることがありますので、迅速に対応できるように準備しておきましょう。
4-6.融資実行までの期間
認定が下りた後、金融支援を受ける場合は、政策金融機関や民間金融機関での融資手続きが必要です。融資の実行には、通常、1ヶ月程度の時間がかかることがあります。必要書類を整え、申請を進めることで、早期の資金調達を目指しましょう。
以上が、経営力向上計画の申請の流れです。各ステップをしっかりと踏むことで、スムーズに制度を活用することができます。計画的に進めていきましょう。
5.必要書類
経営力向上計画を申請する際には、以下の書類や情報を準備する必要があります。これらの書類は、申請の内容や受ける支援措置に応じて異なる場合がありますが、一般的に必要となるものをリスト化しました。
・経営力向上計画申請書
中小企業庁のホームページからダウンロードした「経営力向上計画に係る認定申請書」
・経営力向上計画(別紙)
経営力向上計画の詳細を記載した別紙
・直近の決算書
申請時点の直近の決算書(貸借対照表、損益計算書)
・ 計画実施に関する具体的な資料
計画内容に関する詳細な実施計画(具体的な取組の内容やスケジュール)
・資金調達計画
経営力向上のために必要な資金の額、調達方法(自己資金、融資、補助金、リースなど)
・各種証明書類
法人登記簿謄本
税務署発行の納税証明書(必要に応じて)
・gBizIDの取得
経営力向上計画申請プラットフォームを利用するためのgBizIDアカウント(取得には約2週間かかるため、早めの手続きが必要)
・その他必要書類
受ける支援措置に応じて、特定の書類(例:事業承継に関連する書類や、特定許認可に関する書類など)
これらの書類を事前に確認し、準備を進めることで、スムーズな申請が可能となります。また、申請書提出用のチェックリストを活用して、提出書類に記載漏れがないかを確認することも重要です。
6.まとめ
経営力向上計画は、中小企業が経営力を高めるための重要な制度であり、税制優遇や金融支援を受けることができます。しかし、申請には計画の認定や多くの書類準備が必要なため、注意が必要です。計画的に進め、専門家のサポートを受けることで、より効果的にこの制度を活用することができるでしょう。
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