約束手形の決済期間が60日以内に!!
政府は、企業が使う約束手形の決済期間を60日以内に短縮すると発表しました。この決定は、下請法の改正と合わせて、企業がより厳格にこのルールを守るよう求めています。本記事では、約束手形の決済が60日以内に短縮されることによる影響と、振出側と受取側それぞれが取るべき対策について解説します。
1.約束手形の決済期間が60日に短縮
政府は2024年に、企業が使う約束手形の決済期間を120日から60日以内に短縮するルールを発表しました。これにより、特に中小企業は手形の決済を早めに行い、資金繰りが改善されることが期待されています。
手形を現金化するまでの期間が長いと、資金をやりくりするのが難しくなるため、手形を受け取る企業の負担を減らすことが今回の目的です。今後、60日を超える手形の決済を行うと、公正取引委員会から指導を受ける可能性もあります。
2.決済期間が60日以内になるのはいつ?違反した場合は?
新しいルールは2024年11月1日から適用されます。この変更は、紙の手形だけでなく、でんさい(電子記録債権)や一括決済方式にも適用されます。60日を超える取引は、法律違反となる可能性があるため、注意が必要です。
2-1.運用はいつから?
手形の決済期間が60日以内になるのは、2024年11月1日からです。企業はこの日に備えて、取引条件や支払い方法を見直す必要があります。
2-2.60日を超える決済は法律違反の可能性
もし60日を超える手形を発行した場合、下請法や建設業法に違反する可能性があります。特に建設業界では、厳しい法令遵守が求められるため、企業は取引に十分な注意が必要です。
2-3.電子記録債権や一括決済方式も対象
新しいルールは、紙の手形だけでなく、でんさいや一括決済方式にも適用されるため、これらの手段を使う企業も60日以内の決済に対応する必要があります。
2-4.紙の手形は2027年までに廃止予定
また、2027年3月までに紙の手形は廃止され、すべてが電子化される予定です。今後は、でんさいなどのデジタル手段に移行する動きが加速しています。
3.約束手形の60日以内の短縮に伴う対応策5選
今回の変更により、企業は取引や資金繰りにおいて新たな対策を講じる必要があります。ここでは、振出側と受取側双方が検討すべき5つの対応策を紹介します。
3-1.手形サイトを60日以内に短縮
企業が発行する手形の決済日を60日以内に短縮することが求められます。特に、これまで120日を設定していた企業は、資金繰りが厳しくなる可能性があるため、資金計画をしっかり立てましょう。
3-2.割引料の負担を話し合う
手形を割引して現金化する際にかかる割引料を、受取側が負担するのが通常ですが、今後は支払側が一部を負担することが求められるかもしれません。取引先と協議して、費用負担をどう分担するかを話し合いましょう。
3-3.でんさい(電子記録債権)の活用
手形が紙から電子記録債権(でんさい)に切り替わる流れが進んでいます。でんさいは、紛失リスクがなく、印紙税もかからないため、企業にとってコスト削減の大きなメリットがあります。電子化に向けて早めに準備を進めましょう。
3-4.運転資金を確保する
手形の決済期間が短縮されることで、企業は早めに運転資金を確保する必要があります。日本政策金融公庫の融資制度などを活用し、必要な資金を確保しましょう。
3-5.資金繰り表を作成して予測を立てる
資金繰り表を使って、自社の資金フローをきちんと把握することが重要です。手形の決済期間が短縮されることで、資金繰りに影響が出る可能性があります。資金繰り表を作成し、適切な予測と対応を行いましょう。
4.まとめ
今回の約束手形の決済期間短縮は、多くの企業にとって資金繰りや取引条件に影響を与える重要な変更です。従来の120日から60日以内に短縮されることで、企業は早期の資金確保や運転資金の見直しが必要になります。
取引先との協議やでんさいの導入など、具体的な対応策を講じることで、この変化に柔軟に対応することができます。特に、中小企業にとっては割引料負担や資金繰りが大きな課題となりますが、公的支援や資金繰り表の活用などを通じて、リスクを最小限に抑えることが可能です。
今後の準備が重要ですので、この記事で紹介した5つの対応策を参考に、早めの対応を進めていきましょう。